こんにちは、しーたんです。
(今回早朝とっているのでいつもに増して暗いです。笑)
今回は、遠藤周作さんの「海と毒薬」を読んだ感想をお話ししました。
この作品は第二次世界大戦の頃、実際に起こった人体解剖実験という衝撃的な事件をベースに作られた物語です。
戦争という時代を生きた人々の絶望感だったり、
その環境の中で光る小さな一縷の望みだったり、
自分が今生きている場所とはまったく違う世界で起こる事件を通して、この事件に関わった人たちの心のうちがありありと感じられる作品でした。
中でも私の印象に残ったのが、研修医として実験に参加した戸田という人間でした。
彼は幼い時から学校の先生や親から、「良い子」という評価を得ることを行動の判断基準として生きてきました。
しかしその結果、生きた人を解剖するという惨忍なことをしても、恐れるのは「世間の評価」だけ。
それ以外には何も感じない無感情な人間になってしまった。
他人の評価ばかりを気にして生きていると、自分の感情に鈍感になってしまうのだな、と悲しくなりました。
読み終えた後、すごくズーーンとする作品なのですが、
静かに自分にもメスを入れられたような、もっとその世界に浸っていたいような、
不思議な感覚を味わえる作品で、私はすごく好きでした。
続編の「悲しみの歌」も読んでみたいと思いました。
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